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PCオーディオについて印刷物もやっと追いつこうとして来てるようですね。書店で立ち読みしてみましたけど、ネットの方が情報が明らかに早いし的確ですねえ。audithallもおかげで助かってます。 以前の記事
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PCオーディオにおいては音声信号は符号化されたデジタル信号であるため、理論上は伝送経路内での信号の劣化は意図的に信号を加工しない限りは起こらないとされていますね。にもかかわらず音源を取り扱う機器によって、再生される音質がまるでアナログ機器みたいに様々であるのは、PCオーディオに取り組んでいる方のほとんどから同意を得られるはずです。
このように機器の種類毎に音が異なる理由については様々な理論や推論があるのでしょうけれど、今回audithallは伝送経路に混じっている雑音成分に焦点を当ててみます。中でもDACコンポーネントの入力端子に到達する雑音成分について、それらがどこからやって来るのかを考えてみたいです。なおPCオーディオに興味を持っている人の中に、DAC回路が雑音の影響を全く受けないと信じているようなナイーブな人がいるとは想像し難いので、雑音がアナログ音声出力に影響するか否かの議論はしません。 (雑音の由来) さて雑音の出所はどこのあたりだと思います?audithallがすぐに思いつくのは下の5つです。 1.音源コンポーネントの電源インレット ようは家庭用交流電源のラインに乗ってやってくる雑音です。電源ケーブルが音質に影響するのはオーディオにおける基本事項なのはご存じの通りです。 2.コンポーネント内部の回路 PCオーディオは音が悪いと思われている最大原因はPCの回路から発生する多量の雑音でしょう。処理速度も消費電力もCDトランスポートとは違うので雑音も質量共に桁外れだと想像してます。また内蔵されている冷却ファンやHDDの回転系から発生する雑音も当然ありますし。これに対してCDトランスポートでは板を回すモータやピックアップのサーボ回路からの雑音があるわけですね。 3.コンポーネントの振動 コンポーネントの振動も新たな雑音源となります。インシュレータを履かせると音が変わる主な理由はインシュレータによって筐体の振動モードが変化するからです。CDトランスポートにおいては板の回転やピックアップの運動そのものが雑音源で、しかも実時間で質量のある物体を動かし続ける以上逃れる術がありません。 全く回転系を持たないコンポーネントでも油断はできません。接続されている各種ケーブルが機械的な振動を拾ってきて筐体を揺さぶる可能性があるからです。またトランスに通電すると機械的な震動が起こるのを忘れてはいけません。 4.アンテナとしてのケーブル 電磁波が飛び交う中に電線を垂らしておけば、そこに電磁波が飛び込むのは自明の理です。優秀なシールドを施す事で強力に抑制できますけど、皆無にできるわけではないでしょう。 5.ケーブルの振動 ケーブルは導体を伝わる電気信号を印加電圧として自身の機械的な振動を拾うマイクロホンとしても機能します。そこで発生する電気信号は当然雑音です。ケーブルの種類で音が変わるのは、シールド機能と共にこのマイクロフォン効果も非常に大きいと想像しています。 (考察: PCかCDトランスポートか) 上記の5つの中で、1,4,5は基本的にPCでもCDトランスポートでもあまり変わりないと思われます。対して2はPCが圧倒的に不利で、3はCDトランスポートがかなり不利と考えています。両方の問題を勘案せずに、と言うか全く無視してSPDIF信号をケーブル伝いに取り出したとすれば、結果として2の問題の方が大きく上回って「PCオーディオは音が悪い」と言われるのだろうとaudithallは想像しています。 しかしここで音源コンポーネントからの信号を直接DACに渡さずに、電磁波雑音に対する障壁として機能するコンポーネントを新たに介する事で、より雑音成分の少ない電気信号をDACに供給できるとすれば、話は全く別になってくるのはお分かりになると思います。そしてPCオーディオにおいては、細心の注意を払って雑音対策をおこない高度の実装技術を以て質の良いSPDIF信号をDACに提供できる機器が、やっと最近になって登場してきたわけでしょう。 結局audithallの考えとしては、PCオーディオだから当然xxだとか、CDトランスポートだから必ずxxだとか言った、絶対的な音質の差が存在するとは思っていないんです。設計・製作する者の工夫次第でいくらでも音を良くする手があるものだと信じています。しかし現実には、PCオーディオでは雑音の問題に真剣に取り込んだ製品が登場しつつあるのに対して、CDトランスポートはLP時代のアナロジーに腐心して音質の核心へと迫る努力を軽んじてきたツケが、音の差となって聞こえるようになってしまったようです。 (USB同期転送かUSB非同期転送~LAN接続か) 両者を対比する上でaudithallがまず考えるのは、下流側のコンポーネントにおける信号処理の負荷です。USB同期転送は音声信号の正確さを保証しない方式で音質的に劣っているようですけど、それでも信号処理に必要な負荷は後者に比べて非常に少ない方式です。定期的に信号が垂れ流しでやって来て、それが変なら変なままで整理して下流に仕方なしに流すだけで、それ以上になすべき事がないからです。 対してUSB非同期転送ではUSBハイスピード=480Mbpsで信号のやり取りをしないと信号処理が間に合わないので、当然480Mbpsでの通信ができる回路を実装しなければいけません。ちなみに同期転送では現在のところフルスピード=12Mbpsまでの製品ばかりです。そしてやって来た信号が正しいかチェックし、必要であれば再送信要求~再受信などの訂正動作をしないと非同期転送の意味がありません。当然プロセッサの動作速度が速く処理量が多いので必然的に実装コストがかさむと同時に、プロセッサから出る雑音も大きくなってしまいます。 LAN接続においてはネットワークの通信プロトコルに準拠する専用のプロセッサが必要です。これはオーディオメーカがわざわざ車輪を再発明する必要はないので問題ないとしても、信号のやり取りにまともなコンピュータ並の処理能力が要求されるわけで、するとコンピュータ並みの雑音源を下流側にわざわざ置く事になるのです。 もちろん、電源系統を厳重に管理し強力なシールドを施す事でそれらのプロセッサから発生する雑音を、取り扱っている信号フォーマットのノイズフロアまで引き下げるのは可能かもしれません。しかしそのために新たな資源を投入しなければいけないわけで、できあがる製品は音質に対してかなり割高になる危険がつきまとうとaudithallは想像しています。 しかしそのような処理をしてくれる製品が既に登場していますから、まあ色々悩むよりも実際に聞き比べてみて、現実を把握するだけなんですけどね。試聴させてもらうにしても、audithallとすれば相当低雑音でホログラフィックサウンドが出せるシステムでないと、もはや有効な試聴に聞こえないのでそこが悩みの種です。
by audithall
| 2010-07-03 21:00
| PCオーディオ
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